せみがミンミンと鳴き、地面から湯気が出ている灼熱の暑い夏の日。
カッコいいおばあちゃんに会いました。
見た目は、農業で長年、太陽にさらされたのか、かなりしわくちゃで、
腰も曲りよたよたしたおばあちゃんです。
駅ホームのベンチを手枕にして、地面に座りこみ顔を突っ伏している青年がいました。
ややすると、隣に座っていたおばあちゃんが何やら話しかけています。
「大丈夫か?」
「頭痛いの?」
青年は声も上げず、わずかに首をたてに振っています。
おばあちゃんは手持ち袋からかがまぐちを探り小銭を取ると、
年寄りならではのよたよたとした歩きで自動販売機に向かい、
小さな玄米茶を買いました。
青年に声をかけ、冷えたお茶をベンチに置くと、
よたよたとした歩きで、颯爽と去って行きました。
颯爽とです。
私には、そう見えました。
カッコいい〜!!
こんなおばあちゃんに私はなれるでしょうか。
青年はというと、お茶を渡されると、かばんから財布を出そうとしていましたが、
「いいよ」と促されるおばあちゃんに従ってそのままお礼を言っていました。
せみがミンミンと鳴く、うだるような灼熱の暑い夏の日でした。