
2017年6月30日(金) 永遠の52才が生まれました。
そして今日はあなたの誕生日だね。
あなたと会ったのは小5のクラス。
それまではやんちゃな子たちと仲良かったのを知ってたよ。
毎日毎日、暗くなるまで遊んだね。
誰かが吊るしたタイヤのブランコ、児童館の隣の公園。
蟻を生き埋めて蘇生させたり、アスファルトにペタリと座って笑い転げたね。
アスファルトは、とてもほこりっぽい匂いがした。
仲良しになってから少し経ってあなたはこう言った。
「はじめの●●はもっと優しかった…」
前にも話したけれど、ずっと心に残ってたよ。
仲良くなるとだんだん図々しくなって、気遣いのない私を怒ったんだよね。
目からウロコだったよ。
優しくない支配的な私をズバリ指摘してくれたのは、あなたが初めてだった。
遅刻魔の私につき合わせて通学路の世田谷通りを走らせたっけ。
髪の長い私とボーイッシュでカッコいいあなたは、小さなカップルと間違えられからかわれたね。
まただ…と「男じゃないよ女だよ!」って言い返した私に、
あなたは酷く傷ついたとうなだれて…とても怒ってたね。
仲良しグループで交換ノートを何冊も書いたね。
将来の私を美しい人に書いてくれて、とても嬉しかったよ。
まだあるあのノートは、もっと前にあなたに見せてあげたかったのにね。
服のセンスが良くて私のファッションリーダーだった。
絵のセンスも良かったよね。つる姫にハマってた(笑)
カーペンターズとか、洋楽に興味を持ったのもあなたのオススメが始まりだった。
担任に悪い子グループのレッテルを貼られて、成城や二子玉に遊びに行く禁止令とか出されたね。
担任主動でクラス全員からつるし上げみたいにされて…
そのせいで中学では、みんな引き離されたクラス分けにされたんだ。
同じ体操部に入ったけど、私は怖がりで平均台から落ちたり跳馬が飛べなかったりですぐに挫折。
あなたは3年間頑張って、高校でも続けてたと思ってたよ。
あなたの小さな時の友達美代子と、小5の時に一緒に遊んだね。
美代子とあなたは仲の良い友達を一人連れてくる約束をして4人で会ったんだよね。
高校でその美代子と同じクラスになって仲良くなるとは…世間は狭いなと思ったよ。
18才位の時、祖師谷の西友でばったり会ったね。
お母さんと一緒だったあなたは、子供の頃とはうって変わって女性的でキレイになっててびっくりしたよ。
その後も井の頭線で何度も見かけて、隣の駅に住んでいたってすごい偶然。
後にご主人になった彼に、嬉しそうにずっと車内で話していたの…
あまりに楽しそうだったので、邪魔できないなと声かけられなかったよ。
渋谷の不二家でもばったり会ったね。同級生が亡くなったと聞いたのはあなたからだった。
初めての同窓会でもあまり話せなかったよね。
連絡先交換してたのかな…もう思い出せないけれど、引っ越した桜新町にハガキが来たの。
デビューしたばかりの、●●●●を応援よろしくってPRだった。
あのハガキ、取ってあったはずなのに…出てこないんだよ。
中年になってね、また再会できるとは思ってなかったよ。
私はずっと前に地元を離れてたし、弟とあなたが居酒屋で会わなければきっと連絡できなかった偶然。
いや、これは必然だったのかな…
あなたも私も10代後半に知り合った人とずっと一緒、子どもがいないのも一緒だったね。
子どももいないから、家のことに縛られないお気楽主婦ぶりも一緒(笑)
再会してDavid Bowieの話題のできる友達がやっとできたのに…
もう下北で一緒に飲めないんだね。
あの通りを歩いたらきっとまたあなたを思い出す。
自分のことより友達の心配をしていたね。私はあなたの身体の方がずっと心配だったよ。
何度もなんどもあなたに向けたfacebookをシェアしたよ。
あなたの「いいね」があると役に立ったかなって…
最後に会ったときは、「私のセラピスト」って言ってくれたね。
すぐに会えると思ってたから、さよならも言わないで別れたんだ。
月曜日の電話は何だったのかな?
仕事で出られず、週末の金曜にでも約束しておこうか…って勝手に思ってたんだよ。
どうして連絡しなかったろう。あの変な職場でバテバテだったから?
その日、約束しておけば…
ガンで亡くなった先生の時と同じ。結局、私は何もできなかった。
何の役にも立てなかった。
もっと色んなことをしつこいほどに勧めておけば少しは違ったの?
まるであなたを見送るために再会したよう。
みんなにさよならが言えるように計画通りだったのかな。
最後まで言えなかった予知夢がその通りならば、
あなたはとてもきれいで清々しい表情で、この世の最後に別れを告げているでしょう。
あのほこりっぽいアスファルトに、ペタンと座りこけて笑い転げる私とあなた。
またあちらであの日のつづきを。
